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婚姻 男女が夫婦関係を築くこと。結婚すること。婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない(日本国憲法第24条第1項)。婚姻は、戸籍法の定めに従い届け出ることによってその効力を生じる(民法第739条)。夫婦は、婚姻の際に定めた夫又は妻の氏を称する(夫婦同氏の原則)(民法第750条)。夫婦は、同居し、互いに協力・扶助する義務を負う(民法第752条)。未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない(民法第737条1項)が、父母の一方が同意しない時、知れない時、死亡した時、意思を表示できない時は、他の一方の同意で足りる(民法第737条第2項)。成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない(民法第738条)。未成年者が婚姻をした時は、成年に達したものとみなされる(成年擬制)。(→婚姻届)(→離婚)(→内縁)(→婚姻の予約)
婚姻準正 父の認知の後に父母が婚姻することにより、非嫡出子が嫡出子の身分を取得すること。父母の婚姻時に効力が発生するとするのが通説である。(→認知準正)
婚姻障害 婚姻の成立に障害となる事由。民法には、1.婚姻適齢に達していないこと(民法第731条)、2.重婚であること(民法第732条)、3.再婚禁止期間を経過していないこと(民法第733条)、4.近親婚であること(民法第734条〜第736条)、5.未成年者の婚姻について父母の同意がないこと(民法第737条)、の5つが規定されている。1〜4の婚姻障害があるにもかかわらずなされた婚姻は、取り消し得るものとなるが、未成年者の婚姻について父母の同意がないことは取り消し事由とされていない(民法第744条)。(→婚姻の取消)
婚姻適齢 婚姻することができるようになる年齢。男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない(民法第731条)。この規定に反した婚姻は取り消し得るものとなるが、不適齢者が適齢に達したときは、不適齢者本人を除き、その取消しを請求することができない。不適齢者は、適齢に達した後に追認をしていない限り、適齢に達した後、なお3ヶ月間は、その婚姻の取消しを請求することができる(民法第745条)。(→婚姻障害)(→婚姻の取消)
婚姻届 戸籍法の定めるところにより婚姻の効力が生じる届出。この届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭でしなければならない(民法第739条)。
婚姻をしようとする者は、次の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない(戸籍法74条、戸籍法施行規則第56条)。
1.夫婦が称する氏
2.当事者が外国人であるときは、その国籍
3.当事者の父母の氏名及び父母との続柄並びに当事者が特別養子以外の養子であるときは、養親の氏名
4.当事者の初婚又は再婚の別並びに初婚でないときは、直前の婚姻について死別又は離別の別及びその年月日
5.同居を始めた年月
6.同居を始める前の当事者の世帯の主な仕事及び国勢調査実施年の4月1日から翌年3月31日までの届出については、当事者の職業
7.当事者の世帯主の氏名
届出は、本人の本籍地又は届出人の所在地でする(戸籍法25条)。婚姻は、戸籍事務担当者が届出を受理すれば成立する。 外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる(民法741条)。
婚姻の取消 婚姻適齢(民法第731条)、重婚(民法第732条)、再婚禁止期間(民法第733条)、近親婚(民法第734条〜第736条)の規定(婚姻障害)に違反した婚姻は、当事者、その親族、検察官から、その取消を家庭裁判所に対して請求することができる。重婚の規定に違反する婚姻は、前婚又は後婚の配偶者も取消を請求することができる(民法第744条)。詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。この取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3ヶ月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する(民法第747条)。婚姻の取消は、財産上の行為の取消(民法第121条)と異なり、将来に向かってのみその効力を生じる(民法第748条)。婚姻の取消は、離婚に準じて取り扱われ、一定の事項につき、離婚の規定が準用される(民法第749条)。(→婚姻の無効)
婚姻の無効 婚姻は、当事者間にその意思が存在しない時、婚姻届をしない時は、無効とされる(民法第742条)。(→婚姻の取消)
婚姻の予約 男女が将来婚姻をするという約束。婚約。内縁関係を婚姻の予約であるとする判例も存在するが、一般的には、内縁関係は、婚姻に準じた関係(準婚)であるととらえられている。婚姻の予約の不当な破棄に対しては、債務不履行又は不法行為による損害賠償が請求できるとされている。婚姻は、自由意思でなすべきものであるので、履行の強制はできない。
婚姻費用 婚姻から生じた費用。夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻費用を分担する(民法第760条)。(→法定財産制)
コンクリートブロック造 建物の構造の一つで、壁にコンクリートブロックを用い、はりや屋根等にコンクリート等を用いているもの(不動産登記規則114条)。(→木造)(→土蔵造)(→石造)(→れんが造)(→鉄骨造)(→鉄筋コンクリート造)(→鉄骨鉄筋コンクリート造)(→木骨石造)(→木骨れんが造)(→軽量鉄骨造)
混合供託 複数の供託根拠法令の供託の要件(供託原因)に該当する場合にすることができる供託。例えば、債権が債権者から第三者に譲渡されたが、債権譲渡の効力に疑義があり債務者が弁済をすべき債権者が特定できないときに、さらに当該債権が差押を受けたときに、債務者は債権者不確知(民法第494条)、及び、権利供託(民事執行法第156条第1項)の2つの供託原因を併記して供託することができる。
混合契約 民法に規定のない「非典型契約」のうち、「典型契約」の要素をも持つ契約。(→無名契約)
婚氏続称 離婚後も婚姻時の氏を続けて称すること。婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復するが、離婚の日から3ヶ月以内に戸籍法に定めるところにより届け出ることによって、婚姻時の氏を続けて称することが出来る(民法第767条、戸籍法第77条の2)。(→協議離婚)
混蔵寄託 寄託契約の一種で、穀物等、代替性のある物につき、同種の物と混合して保管し、同量の物を返還すれば良いとするもの。株券等の保管及び振替に関する法律(昭和59年5月15日法律第30号)23条に定める「預託株券の混蔵保管」等はこれにあたる。銀行法(昭和56年6月1日法律第59号)第10条第2項10号に規定する「有価証券、貴金属その他の物品の保護預り」は、通常、有償の寄託契約に当たるが、銀行が窓口で販売した有価証券等で個性が問題とならないような場合は、混蔵寄託に当たることもある。(→消費寄託)
混同 (1)区別して取り扱うべきものを、区別せずに取り扱うこと。「公私ー」。
(2)外見・表示が似ているため、性質が異なる種類のものであるのに、同じ種類のものだと解釈してしまうこと。「〜とのーを避けるため〜する。」。
(3)異なるものが、混じり合って復元が困難な状態になること。
(4)債務者が債権者を相続する等、債権と債務が同一人に帰して消滅すること(民法第520条)。債権に質権が設定されている、賃借権に転借権が設定されている等、債権が第三者の権利の目的となっている場合は、混同による消滅はしない。
(5)同一物について所有権及びその他の物権、又は、所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰したとき、その他の物権又は物権を目的とする他の権利が消滅すること(民法第179条)。抵当権者が抵当権の目的である物件を取得した場合などがそうであるが、抵当権の目的物又は抵当権が第三者の権利の目的となっている場合には、混同による消滅はしない。
抵当権者が売買によって抵当不動産を取得し、所有権移転登記をした場合において、混同による抵当権抹消登記の登記原因は、所有権移転登記における登記原因の日付にすべきとされる(登記研究119号40頁)。混同を原因とする権利の抹消登記を申請する場合において、混同によって権利が消滅したことが登記記録上明らかであるときには、登記原因証明情報の提供を要しない(登記研究質疑応答7810)。
コンプライアンス(Compliance) 企業が経済活動を行う上で、法令の他、社会的規範・倫理等を遵守すること。本来は、指示・命令等に従うという意味。
コンメンタール(kommentar)(ドイツ語) 法律を条文ごとに順を追ってを解説した書籍。
婚約 男女が、将来、婚姻をするという約束。法律に規定はなく、結納の取交し、その他慣行的な儀式が行われる必要はないとされ、婚約が成立したか否かは、状況に応じて判断される。判例は、婚約を「婚姻の予約」ととらえ、当事者の一方の不当な破棄に対しては、損害賠償が請求できるとする。
混和 固体や液体が混じりあうこと。所有者を異にする物が、混和して識別することができなくなったときは、その混和物の所有権は、主従の区別をすることができれば、主たる物の所有者に属し、主従の区別をすることができないときは、その付合の時における価格の割合で共有となる(民法第245条、第243条、第244条)。混和により損失を受けた者は、不当利得の規定に従いその償金を請求することができる(民法第248条、第703条、第704条)。(→付合)(→加工)
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